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2008/06/20  10:32 am

シーズン終盤に期待!?武藤英紀のルーキー・イヤー前半戦を振り返る


 インディカー・シリーズは早くもシーズン7戦が終了しました。タイトル争いはスコット・ディクソンが一歩抜け出した感じですが、一方で我々日本人にとって一番の関心はもちろん武藤英紀。ここまでの武藤のパフォーマンスを僕なりに振り返ってみようと思います。




 7戦を消化して6位3回、トップ7フィニッシュ4回、ランキング7位。これが武藤のルーキーシーズンの成績です。このリザルト、僕は素晴らしいものだと思います。開幕7戦中、昨年インディ・プロ・シリーズ(当時)で走行経験のあるコースが5戦と多かったことも武藤にとってはポジティブな点でしたが、それでもランキングでここまで上位に来るとは正直思っていなかったというのが僕の本音です。何より素晴らしいのがその安定感。今年は12年ぶりに北米オープン・ホイール・レーシングが統合されたこともあり、エントリー数は26〜28台と大幅に増加。オーバルに関してはチャンプカー勢がまだ苦戦を強いられているものの、それでも昨年のシングル・フィニッシュと今年のそれとは、その価値観も大きく違ってきます。競争が激化してきた新生インディカー・シリーズの7戦中4戦でトップ7フィニッシュ、6位3回という抜群の安定ぶりは特筆に値すると言っても決して言いすぎではないはずです。上を見ればキリがないですが、ルーキーの武藤にとってまずはレースを完走して経験を積むこと、それが今後に繋がる重要なことになってくるのです。ただ、武藤自身が見据える先はもっと高いためか、自分の成績には満足していない様子。3度目の6位フィニッシュとなったテキサスのレース後、「また6位かという感じ。6位もゼロも変わらないですよ」と悔しがっていましたね。目指すべきはさらに上というその目的意識の高さには本当に驚かされますが、同時に頼もしくも思ってしまいます。



 一方で、武藤のチーム体制を考えると「この成績は当然」という見る向きもあるようですが、僕はそうは思いません。たしかにルーキーシーズンから4台もの大体制を誇るチャンピオンチーム、AGRで戦える武藤は本当に幸運だと思いますし、その分周囲の期待も大きくなってしまうのは当然のこと。チームメイトとセットアップ・データの共有もできるでしょうからルーキー・ドライバーへの負担は他のチームに比べれば少ないかもしれません。しかし、現行のインディカー・シリーズのマシン・パッケージの基本は2003年から変わっていないため、参戦期間の長いベテランドライバーが有利になってくるのはしょうがない傾向にあります。ペンスキー、チップ・ガナッシ、そしてAGRのいわゆる“ビッグ3”の中でルーキーは武藤だけという状況が、今のインディカー・シリーズの現状を物語っています。仮に現役F1ドライバーでさえ、今のインディカーでは即戦力にならない、そういっても過言ではないほど、とにかく競争は“オーバル使い”によって極限まで高まっているのです。加えて、今年のAGRは昨年の王者ダリオ・フランキッティが抜けたことで決して万全とは言えない状態にあります。実際、開幕7戦でチームの優勝は記憶に新しいインディジャパンでのダニカ・パトリックのみで、チームリーダーのトニー・カナーンがランキング4位というのが最上位。そんなチーム状態の中で、ダニカとわずか5点差のランキング7位につけている武藤の安定感は素晴らしいと思います。毎戦優勝争いを展開しているもののクラッシュを重ね波に乗り切れていないマルコ・アンドレッティに対しては逆に5点差上回っているほど。ここまでの成績は十二分に評価できるのではないでしょうか。



 ただ、もちろん課題がないわけではありません。序盤の7戦を見ていて感じたのは、「本当の意味でまだトップ争いをできていない」という点です。毎戦のように上位グループにつけてのレースができているものの、トップ争いにはあと一歩届けていないのです。先のテキサスでは序盤、スコット・ディクソンを豪快に抜き去り3番手に浮上するなど光る走りを見せてくれましたが、ピットストップ後はペースが上がらず後退してしまい、あとが続きませんでした。結果的に終盤追い上げて6位フィニッシュを果たしましたけど、トップグループの中での走り方や、特にライバルに対して自分の存在感をアピールする上でも、何とかトップ争いに加わってほしいと思います。前出の通り、競争が極限まで高まっている今のインディカー・シリーズでそれを実現するのは非常に難しいことではあるのですが、毎戦のように成長している武藤の走りを見ていると、絶対にできると期待してしまいます。他にも、ピットストップとリスタートにまだ弱冠課題が残っていそうですが、それもレース毎に改善されていっています。ひとつずつ自分に足りない点を埋めていって、走りにさらなる磨きをかけていってほしいですね。特にハイスピードオーバルではクルマの状態もかなり良さそうなので、1.5マイルレースが多いシリーズ終盤にはすごく期待したいです。



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