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2008/11/04  4:32 pm

アメリカン・ル・マン・シリーズ・シーズン・レビューVol.2-熾烈を極めたアキュラVSポルシェのLMP2対決


 アメリカン・ル・マン・シリーズのシーズン・レビュー2回目は、大激戦となったLMP2クラスを、アキュラの戦いを中心に振り返っていこうと思います。


 今年のALMSを盛り上げたのは、何と言ってもLMP2クラスの戦いに他なりません。昨年のクラス王者ペンスキー・ポルシェに、参戦2年目のアキュラが挑んだ戦いは手に汗握る素晴らしいものでした。両者の戦いにLMP1クラスの王者アウディを巻き込んだ、3大自動車メーカーの真っ向勝負は、見ていて震えが出るほど痺れましたね。モータースポーツの世界で確たる成績と地位を築いているこの3メーカーが、ALMSという土俵でメーカーの威信を掛けて戦っているんですから、震えが出ないわけはありません。コスト高騰によって、F1を除くとメーカー主導のレースが減少している現在のレース界で、こういった戦いが見られるのはALMSだけだと僕は思いますし、そんなレースを取材できてほんとうに幸運でした。

 LMP2クラスの戦いに話を戻すと、結果は今年もペンスキー・ポルシェが王者を獲得。アキュラは最後まで健闘を見せたものの、一歩及びませんでした。ポルシェ勢は今年も、ペンスキーの2台とダイソンの2台という計4台体制。戦闘力的にはやはりペンスキーの2台に一日の長がありましたが、時にはダイソンの2台がレースで前を行くシーンもしばしば見られるなど、ダイソンの躍進がポルシェ勢全体の戦闘力の底上げにつながったと言えます。RSスパイダー・シャシーも改良を加えられ、昨年に比べて大幅に戦力アップされてましたし、さすがポルシェと思わず唸ってしまうほどでしたね。



 今シーズン、ポルシェの戦い方を見ると、スピードではアキュラ勢にやや押されていたような印象でしたが、レースでは終盤に必ず優勝争いに加わってくる粘り強さが目立ちました。特に、ペンスキーのピット作業はほんとうに正確で、決してミスを犯さないのはさすが。長距離レースが多いALMSでは、ピット作業の回数もそれだけ多くなってくることから、レースの勝敗を分ける重要な要素になってきます。ポルシェRSスパイダーのマシンというハード面と、ペンスキーのチーム力というソフト面がうまく融合し、さらに戦闘力が上昇していったといえるのではないでしょうか。名門同士のコンビネーションは、今年も健在でした。



 そんな強力ポルシェRSスパイダー勢で、見事タイトルを獲得したのがロメイン・デュマとティモ・バーナードの7号車。全11戦中クラス優勝4回と、まさに王者に相応しい成績を残しました。特にデュマの走りには目を見張るものがありましたね。スタードライバーを揃えたアキュラ勢に比べ、ペンスキー・ポルシェ勢はどちらかというと“職人肌”なドライバーが多く、それゆえ決勝レースでは抜群の安定感と力強さがあるのですが、一発のスピードという点ではどうしても見劣りしてしまう点がありました。そのような中で、デュマのスピードはポルシェ勢ではひと際目立っていましたね。タイトルを獲得したことから、名実共に“ポルシェのエース・ドライバー”に成長したといっても過言ではないでしょう。来シーズン以降も、アキュラの前に大きな壁として立ちはだかってきそうです。



 今年のALMSが毎戦のように激戦となった一番の要因は、何と言ってもアキュラの成長にあります。参戦2年目となる今年は、改良型シャシーのARX-01bを投入。エアロダイナミクスが向上したのはもちろん、整備性も大幅に向上し、トラブルやアクシデントでシャシーが破損した状態でも、修復が非常にしやすくなっていました。当然エンジンの戦闘力も向上しており、開幕前のテストからハード面での進歩が如実に表れていましたね。また、昨年までのハイクロフト、AGR、フェルナンデスの3チームに加え、シーズン途中からジル・ド・フェランが立ち上げたド・フェラン・モータースポーツも陣営に加えた4台体制で、2年目のシリーズを戦うことになりました。このド・フェラン陣営が予想以上のパフォーマンスを見せ、ミド・オハイオではポールポジションを獲得するなど、既存の3チームを凌駕する場面も。ド・フェランの活躍に刺激されたか、シーズン序盤に出遅れたアキュラ勢は中盤以降、クラス優勝を重ねるなど目覚しい活躍を見せてくれました。アキュラ勢の中でお互いのチームが刺激し合って、いい相乗効果が生まれたんだと思います。HPDの思惑通りといったところでしょうか。



 アキュラ勢のハイライトは、何と言っても第5戦ライムロックで、ハイクロフトが初の総合優勝を挙げたこと。王者アウディを破っての総合優勝は、ほんとうに素晴らしい結果でしたし、シリーズ全体にとってもアキュラの躍進はレースがよりコンペティティブになることから喜ばしいことだったと思います。この総合優勝でも証明されたように、今シーズンのハイクロフトの成長は、周囲を驚かせてくれました。昨年もアキュラ3チームの中ではLMP2クラスランキング3位と最上位ではあったのですが、今年は第3戦ロングビーチで初のクラス優勝を達成すると完全に勢いに乗って、第7戦ロードアメリカ、第8戦モスポートと2戦連続クラス優勝を飾り、ペンスキー・ポルシェの7号車と激しいタイトル争いを繰り広げたのです。しかし、第10戦プチ・ル・マンで今年からチームに加入したスコット・シャープが、序盤に痛恨のクラッシュを喫して痛恨のリタイア。これでタイトル獲得が泡と消えてしまいました。
 念願のチャンピオンこそ獲得できませんでしたが、今シーズンのハイクロフトの快進撃は、見ていて爽快でした。特にデイビッド・ブラバムがほんとうに素晴らしかった! 毎レースでシャープがスタート・ドライバーを務め、ブラバムはレース後半を担当していたのですが、毎戦ブラバムがコース上で凄まじい追い上げを見せて、レースを大いに沸かせてくれたんです。総合優勝を飾ったライムロックも、ブラバムの鬼気迫る追い上げによるものでした。文句なしに、アキュラのエース・ドライバーと言えるのではないでしょうか。ブラバムといえば、個人的にはF3世界一決定戦マカオGPを初めてテレビで見た1989年に、優勝したのがブラバムだったことから、そのイメージがいまだに強いんですが、20年後もこうやってファクトリー・ドライバーのエースとして活躍しているんですから、ほんとうに素晴らしいドライバーですね。



 ハイクロフトとは対象的に、非常に苦しんだのがAGR。シーズン途中にブライアン・ハータとクリスチャン・フィッティパルディを解雇するなど、まさに“迷走”していました。開幕前はアキュラのエース・チームとして見られていたのですが、その座も完全にハイクロフトに奪われてしまうことに。ただ、前述のふたりのドライバーを解雇した後、元スーパーアグリF1で日本でもお馴染みだったフランク・モンタニーを起用してから、戦闘力が徐々に上向き出していきましたね。そして、第9戦デトロイトで、そのモンタニーがノータイヤ交換作戦を見事に走り切り、アキュラに2度目の総合優勝をもたらしました。ちょうどIRLとの併催だったことから、ホンダの関係者も現場に多くいて、ものすごい盛り上がりでしたね。モンタニーの加入がチームにもたらした影響は、かなり大きかったと思います。それに、モンタニーの走りは見ていてとてもスリリングで、個人的にすごく好きです。スポーツカーではなく、フォーミュラカーをドライブしているように、マシンを右に左に“ぶん回す”ような走りが迫力満点。なんだか、マルコの走りを見ているようで、ほんとうに爽快でした。加入当初はそれが成績に結び付いていきませんでしたが、この総合優勝でモンタニーの走り方が、間違いではなかったことが証明されたんだと思います。ハイクロフトのブラバムと並んで、ALMSでは純粋にドライビングだけ見ていても、楽しいドライバーだと僕は思います。



 フェルナンデスは、今年も堅実な走りに徹していたように感じます。ハイクロフトやAGRのような派手さはないですが、確実に上位へ進出するといったレース運びを今年も見せていましたね。一方で、かなりセンセーションだったのが、ド・フェランの66号車。オーナー兼ドライバーとして再びドライビング・シートに戻ってきたジル・ド・フェランの走りはいまだ健在で、ミド・オハイオでのポールポジションの走りは往年のジルを髣髴とさせるほどでした。ちょっとふっくらした外見とは対象的に、かなり高いモチベーションを感じられましたね。そのド・フェランもさることながら、チームメイトのシモン・ペジノーには驚かされました。もう、純粋に速い! 同じ速いでも、豪快なモンタニーの走りとはまったく正反対で、非常にスムーズ&シャープ。まるでカミソリのようなとでも言いましょうか、とにかく無駄のないきれいなドライビング・ラインを取る走りには、感銘を受けました。昨年までチャンプカー・ワールド・シリーズに参戦していたことから、皆さんにはお馴染みのドライバーだと思いますが、僕は彼の走りを数回しか見たことがなかったので、かなりの驚きでした。今後が楽しみなドライバーですね。



 それと、忘れてはいけないのがマツダの存在です。チーム体制では前述の3メーカーとは異なって小さな予算内で行っており、日本のマツダはほとんど関わっていないということはあるものの、独特の存在感を放っていました。今年はBPをスポンサーにつけ、レース終盤にはプジョーと同じクローズドボディのマシンを投入するなど、アウディ、ポルシェ、そしてアキュラの3メーカーとは違ったアプローチでレースを戦ってきました。戦闘力という面ではまだ優勝争いができるほどではありませんが、マツダの存在がシリーズ全体をさらに華やかにさせていることは確かです。独自の道を突き進むマツダの今後の活動にも、大いに注目していきたいですね。



 来シーズン、いよいよアキュラがLMP1クラスへ参戦を開始します。ハイクロフトとド・フェランがアキュラのマシンでLMP1を戦い、フェルナンデスは今までどおりLMP2クラスに残ることになります。AGRの去就はまだ決まっていないようですが、アキュラ陣営に残ってくれることを期待したいですね。王者アウディとの全面対決、そしてペンスキー・ポルシェとのLMP2クラスでの再戦と、今から想像しただけでも鳥肌が立つほど興奮してきます。ほんとうに面白かった2008年シーズンを上回る、素晴らしいシーズンになることを期待して、来年3月の開幕戦セブリング12時間まで待つことにしましょう。



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