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2009/03/26  2:16 pm

やっぱりアメリカのレースは面白い!


 2007年10月から執筆させていただいたこのコラムも、今回が最後となります。これまでの取材を通じて、僕が感じたアメリカン・モータースポーツの魅力をレポートしてみたいと思います。


 僕がアメリカン・モータースポーツの取材を開始したのが2003年。ホンダとトヨタがIRLへの参戦を開始した最初のシーズンでした。それまでF1雑誌の編集部に所属していたこともあって、F1のパドックとはどのような違いがあるのか非常に興味深深でしたが、いざ現場に着くとその開放的な雰囲気に圧倒されました。





 特に、最初のIRLレース取材が同年開幕戦だった温暖なホームステッドだったことも大きく影響したんだと思います。閉鎖的でどんよりとした雰囲気が歴史の長さを感じさせるF1のパドックとはまったく正反対で、「ああ、これがアメリカのレースかぁ」と一瞬にして心を奪われたことを、今でも覚えています。


 あれから6年、IRLに留まらず、NASCAR、ALMS、そして当時のチャンプカーなど、多くの全米メジャーレースを取材してきましたが、どのレースもパドックの雰囲気はあのときのホームステッドと同じく開放的で、取材する側も楽しくなってくるほど。アメリカのレース本来の姿が、パドックという限られたスペース内に現れているんだと思います。何年経ってもパドックに入るのはいつでも興奮しますね。





 アメリカのレースは、僕にいろいろなことを教えてくれました。なかでも最も感心させれらたのが、「ファンあってのレース」ということ。常にファンの目線に立って、「どうすればファンが楽しんでくれるか?」を最優先に考える姿勢には、すごく勉強させられました。


 F1を中心としたヨーロッパや日本のモータースポーツでは、「レースが白熱する→ファンが喜ぶ」という考えが第一にあるのではないかと思います。もちろん、レース自体の競争性を向上させることは最も大事な要素でしょうが、それに偏りすぎて、サーキットに足を運んでくれているファンのことは二の次になっているという感じが否めません。


 しかし、アメリカン・モータースポーツではまったく逆の考え方。つまり、「サーキットでファンを楽しませる→レース自体も面白くなる」という図式です。たった数十ドルのガレージパスを手に入れればパドックを見学できますし、ドライバーからも気軽にサインをもらうことができます。レースマシンも間近に見れて、時には気さくなメカニックがコクピットに載せてくれることも。


 ドライバーやチームスタッフも、「ファンあってのレース」ということを十分理解していて、ファンから声を掛けられると気軽にサインに応じてくれます。これは、レースだけではなく、アメリカのプロスポーツ業界全体に言えることで、「ファンが応援してくれるからこそ、自分たちがある」という考え方がほんとうに徹底されています。


 また、レース自体でも、ファンを楽しませる仕掛けが数多く隠されています。オーバルレースではイエローコーションという規定のためにレース中に何度もリスタートが見られますし、ピットストップも全車一斉に行われるのでどのチームが一番速かったか明確にわかります。 オーバルなら観客スタンドからはコースのすべてが見渡せますから、レース中何が起こっているか自分の目で見ることができます。


 ソフト面でも、レーススキャナという無線ラジオを聴くことができますし、NASCARでは世界に先駆けて手元で様々な角度からレースを観戦できるファンモニターが導入されました。アメリカでは、「レースはエンターテイメント」なんです。エンターテイメントだからこそ、いかにしてお客さんを楽しませられるか。すべてはこの一点に集約されています。


 レースは参加するマニュファクチャラー、スポンサー、そしてドライバーやチームのためだけではない、ファンあってのものという考え方は、僕には新鮮に映りましたし、大いに感心させられました。日本のレース業界も学ぶべき点が多いのではないでしょうか。





 また、アメリカのレース業界は、お金に関して非常にオープンな点も大変驚きました。レース活動にはお金が掛かりますが、その反面、レースの賞金やスポンサーの出資額などはあまり公表されてきませんでした(最近は以前に比べかなり公になりつつありますが)。


 しかし、アメリカではレースの公式リザルトにこのレースの獲得賞金額という欄があるほど明確にされています。また、スポンサーの出資額も大まかではありますがメディアに報道されており、1シーズンでチームはどれくらいの予算があるのか、ファンだったら大抵の人が把握しているほどです。


 近年影響力が大きくなってきているテレビの放映権料なども公式に公表されています。お金が絡むと何かと負のイメージが付きまとう傾向にありますが、これだけ公にされていると、かえってスッキリしますし、ファンも納得できるのではないでしょうか。





 これまでのレース取材で、素晴らしい瞬間に出会えることも多々ありました。初めてインディ500を取材したときは、あの独特の雰囲気に完全に圧倒されてしまいました。あのときほど、歴史と伝統の重みを感じることはありませんでしたね。「インディ500は特別」とレース関係者が口を揃えて語る意味が、一瞬にしてわかったように思えましたね。


 また、2007年のF1USAGPサポートレースのインディ・プロ・シリーズ(当時)で武藤英紀が初優勝し、表彰台のど真ん中に日の丸が上がり、君が代が流れたときの感動は今でも鮮明に覚えています。あのときほど、自分が日本人であることを意識したことはありませんでした。海外で見る日の丸と君が代は特別ですね。もちろん、去年のIRLアイオワで武藤が日本人初の表彰台に上った瞬間も忘れられません。日本人ドライバーがついにここまで来たんだと、その瞬間に立ち会えたことはジャーナリスト冥利に尽きます。


 トヨタがNASCAR最高峰スプリントカップで初優勝を飾った昨年春のアトランタのレースも非常に印象的でした。“ジ・アメリカンレース”のNASCARでトヨタがこれまで行ってきたレース活動には素晴らしいものがありますし、あの春先のアトランタでその努力がすべて報われたんだと、トヨタの関係者の表情を見て思いましたね。





 一方で悲しい出来事にも数多く立ち会いました。2006年開幕戦ホームステッドの決勝前プラクティスで、ポール・ダナが事故死したことは衝撃的でした。あのときパドックにいた全員の表情は今でも忘れられません。


 また、2003年IRL最終戦で、痛恨のマシントラブルによりルーキー・オブ・ザ・イヤーを逃したロジャー安川のレース後の表情もすごく印象に残っています。どんなことがあってもきっちり前を向いてメディアの取材に対応するロジャーが、あのときばかりは悔しさを隠そうとしなかった。いくら仕事といえども、こちらから質問をするのが非常に苦痛に思えた初めての経験でした。今改めて振り返っても、いろいろなことがありましたね。





 このコラムを通じて、アメリカンレースに対する僕なりの考えや想いをいろいろと書かせていただきました。至らない点も多々あったかと思いますが、読んでくれた方々が楽しんでいただけたのであればほんとうにうれしいです。


 昨今の日本国内のレース報道を見ていますと、アメリカンレースへの関心が低下しているようですが、ぜひもう一度、アメリカンレースを見てもらいたいです。「レースはエンターテイメント」という、F1にもヨーロッパにも日本にもないオリジナリティ溢れる魅力がいっぱい詰まっています。


 「やっぱりアメリカのレースは面白い!」、そう思ってくれるファンが増えてくれることを期待して、いったんこのコラムを終わりにしたいと思います。皆さん、短い間でしたが、お付き合いいただきほんとうにありがとうございました。またどこかでお会いできることを期待しております。



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