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2009/10/14  3:33 pm

フランキッティとガナッシの信頼関係が生んだギャンブル


先週末にホームステッドで行われたレースで、とうとう2009年のインディカー・シリーズが幕を閉じてしまいました。4月に同じフロリダ州のセント・ピーターズバーグでシリーズが開幕してから、あっという間の6ヶ月間でしたね。まだシーズンは終わったばかりですが、来年3月にインディカー・シリーズ初開催となるブラジルでの開幕戦が待ち遠しいです。

いったいどんな最終戦だったのか、早速ホームステッドでのレースを振り返ってみましょう。レース序盤から圧倒的なスピードを見せていたのは、ライアン(ブリスコー)とスコット(ディクソン)。しかし最後にレース・ウィナー&2009年シリーズのタイトルを勝ち取ったのは、ダリオ(フランキッティ)となりました。コーションが一度もでないハイ・ペースのレースの中、ギャンブルをしてフューエル・レースにかけたダリオの作戦勝ちです。



まず序盤からチャンピオンを争う3台が、圧倒的な速さでレースを引っ張り、レース中盤ですでに4位以下の全ドライバーをラップダウン。シリーズ・タイトルを争うトップ3台がバトルをし、最終戦に相応しい展開になったと思います。チャンピオンがかかっていた3人にとっては、最初から最後まで全力を振り絞って、全く妥協のないレースになったのではないでしょうか。



ポール・ポジションを逃してしまったライアンは、最多ラップ・リードのボーナス・ポイントを獲得した上で、レースを制覇しなければチャンピオンを獲ることができませんでした。そういった意味で、ポイント・リーダーであったスコットに対して、完璧なレースをしたと言えるでしょう。最後のピット・ストップを終えた時点でスコットに大差をつけていたのですが、ダリオには作戦で負けてしまったのです。



一方、3年連続でシリーズ・ランキングをトップ3以内でシーズンを終えたスコットも素晴らしいレースをしたと思います。いま思うと、開幕戦でのリタイアと第2戦での不振の結果が、タイトルを逃す要因になってしまったような気がします。スピードと安定感に関して抜群の才能を持つスコットが、来シーズンもチャンピオン争いに加わってくるのは間違いないでしょう。



2009年シリーズ・タイトルを獲得したダリオは、まさにベテランらしい走り&勝ち方だったと思います。昨年はNASCARに転向し、思うようなレースができずにシーズン途中でシートを喪失。今年はインディカーに舞い戻り、ダリオとしては自分のポテンシャルを改めて見せつける重要な年になったと思います。

ダリオとチームはレース中盤になって、トップの2台と同じスピードで走ることが難しいと考え、このまま一騎打ちの勝負をしても勝てないと確信したのでしょう。すぐに頭を切り替え、燃費作戦に出て最後のスティントを1ストップで走りきろうと決めました。その時点でまだイエローコーションは出ていなかったので、イエローが出る可能性は非常に高い中、このギャンブルにでるのはものすごく高いリスクがあったと思います。



通常、リスクの少ない戦い方としては、そのまま走ってイエローが出るのを待つのが妥当でしょう。ダリオとしてはチャンピオンシップがかかっているバトルの最中に、自分だけが燃費作戦にかけるのは非常に難しい決断であり、チームを100%信用していなければできることではありません。彼のチームは燃費をセーブするため、2スティントを通して205mphの平均スピードでラップを重ねるように指示。それにしっかりと応えることができるベテラン・ドライバーだったからこそ、安心してギャンブルができたのだと思います。



レース後半はフューエル・マップを一番セーブ・モードまで絞って、トラフィックをうまく使って燃料をセーブ。みごとトップでフィニッシュ・ラインを駆け抜けた時は、チーム全員が飛び上がって喜んでいました。チームとしては、2007年にAGRにいたダリオとの勝負でシリーズ・タイトルを逃したとき、スコットは燃料切れになってしまっただけに、同じトラブルがおきないかハラ×2ドキ×2だったと思います。まさにハイリスク・ハイリターンと言う結末になりましたね。

決勝日のフォト&レポートにも書いてありましたが、この日は10月10日で、10号車が優勝。(ちなみに、僕の誕生日でもありました!)ダリオにとっては最高の日となりましたが、実はCARTシリーズで初タイトルを逃して(モントーヤと同ポイントながら勝利数で負ける)しまってからちょうど10年目で、その時のレースでは彼の友人である故グレッグ・ムーアが他界してからも10年目だったのです。だからこそ、ダリオにとっては意味深い「10」の日になったのではないでしょうか。



今回のレースはトップ3台がレースの話題を総嘗め状態でしたが、ホームステッドのレースとしては、珍しく全ドライバーにとって難しいコンディションのレースとなっていたようです。ほとんどのドライバーがリアのグリップが足りないと訴えながら、コーナー出口ではアンダーステアになっていたそうです。トータル・グリップが少なかったのだと思うのですが、ここはコースの路面を舗装し直してからおよそ5年近く経ち、路面のグリップ・レベルが下がってきているのだと考えられます。



予選順位は低迷していたものの、レース後半にジワジワ追い上げて来たのがAGR勢のトニー(カナーン)とヒデキ。ヒデキは体調が万全じゃなかったのに、最後までしっかり走りきって6位でゴールしました。マシンのスピードがまだ足りない中、レース・セットはしっかりと決まっていたようです。ヒデキに関しては来シーズンの動向が気になるところですが、ぜひ彼にとってベストなマシンを用意してくれるチームと契約をして欲しいですね。彼の今年の成長ぶりは、十分に来季を期待させるものだったと思います。



今年一番の成長を見せたのは、やはりダニカでしょう。なんだかんだ言ってもランキングは5位で、AGR勢のトップでシーズンを終えることができました。未だAGRに残留するかどうかの発表はありませんが、ぜひ来年もインディカー・シリーズに残って、インディカー人気を引っ張り続けて欲しいものです。

ほんとうにあっと言う間の2009年シーズンでしたが、皆さんにとってはどんなシーズンでしたか? シーズンは終わったばかりですが、トップ・チームはすでに今週から来季のプランや開発が始まっていると思います。今年のオフ・シーズンは多くのドライバーの移籍や、新チームの参入等の噂があり、開幕戦ではどんなことになっているのか楽しみです!

今回のコラムは最終戦を振り返る内容となりましたが、シーズンが終わっても引き続きレースのテクニカルな話題や、ガレージでの噂話などをどんどん紹介していこうと思います。レースがない分、オフ・シーズンはぜひ僕のコラムを楽しんでください! どうぞよろしくお願い致します!



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