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2009/11/05  1:31 pm

2003年と同じ燃料タンクに戻せばもっとおもしろくなる!?


先週末はハロウィーンで、気がついたら11月に突入。今年も残りわずかですね。ロスは相変わらず過ごしやすい天気ですが、空がだんだん冬の澄んだ色になってきました。LAは冬場も暖かいので、トレーニングには最適な場所です。シーズン・オフになると、ドライバーとしてはメインの仕事がトレーニングですから、しっかり体力をつけておかないと!

僕みたいに来季のプログラムが決まっていないドライバーは、スポンサーやチームとの交渉で、e-mailや電話で連絡を取り合う日々が続きます。大きなスポンサーの話をまとめようとすると、やはりクリスマス前後までには具体的な話が決まってないといけないので、10月から11月にかけては修羅場です。

下位チームのスタッフにとっては、オフ・シーズンはチームから解雇されてしまう場合があり、たくさんのメカニックは冬眠モードに入っています。テストのマイレージ制限があるため、下位チームは翌年のプログラムが決まるまで機能せず、人経費を削減して最低限のスタッフで冬を越します。多くのスタッフにとっては、身体と懐が冷え込む時期への突入となってしまうのです。

前回のコラムでは、ケンタッキーからのルール変更でレース展開を面白くしたプッシュtoパスの話をさせていただきましたが、その他にも空力パッケージの変更によりオーバルのレースは後半戦になって特に盛り上がりましたね。リーグも色んなルール変更を考えて、レースのエンターテイメント性を高めようと必死に努力しているように感じます。



しかしシーズンが終わってみて、結果を見る限りオーバル・レースではペンスキーとガナッシの圧勝。まだまだこのトップ2チームから、その次のレベルにつけているNHLRやKV レーシングと差がある状態です。今回のコラムでは、何を変えればもっとレース展開が面白くなるかを考えてみたのですが、僕は燃料タンクの容量に注目しています。現在インディカーの燃料タンクは22ガロン(83L)で、僕がデビューした2003年は35ガロン(133L)でした。当時と同じシャシーを使っているにも関わらず、なんと燃料を満タンに搭載した時の量が約37%も減ったことになります。



なぜ僕が燃料タンクに目をつけたかと言うと、デビュー・イヤーのレースを思い出したからです。今より37%増もの燃料を積んでいたので、当然1スティント(次のピットまでの走行)の距離は長くなっていました。すると必然的にマシン・バランスが満タンの状態と空の状態では、大きく異なっていたのは言うまでもありません。スティントを通して良いバランスを保つマシンを作り上げるのは難しく、その中でもスティントの前半か後半にハイ・ペースで走れるマシンを作ることも戦略では重要でした。

このように35ガロンのタンクでは、レース用のセットアップが大きく変わってきます。一番大きなポイントはマシンの車高で、現在の22ガロンのタンクは満タンにしても、燃料の増加によるマシンのボトミングはそんなにひどくありません。しかし35ガロンもの燃料を積むと、重たくなる分、最初の数ラップはものすごい勢いで底打ちします。マシンが大きくボトミングして挙動を乱すとクラッシュする恐れがあるので、最初の数ラップは慎重に走らなければなりません



底打ちを避けるには若干マシンの車高を高く設定しないといけないので、燃料が多いスティントの前半と燃料が軽くなった後半の車高が大きく変化するために、バランスをとるのが難しくなります。また、スティントの前半は車体重量が重い分タイヤにかかる負担が増え、1スティントの走行距離が伸びてラップ数が多くなると、タイヤの扱い方も考えながら走らなくてはならなくなります。

22ガロンのタンクでは、ほぼ毎スティントがスプリント・レースとなってしまい、今年の最終戦のようなオール・グリーンのレース展開にならない限り、フューエル・レースになることはほとんどありません。



ピット作業においても、35ガロン・タンクでは戦略が大きく変わってきます。22ガロンを満タンにする時間はタイヤ交換とほぼ同じで、ゴールが近い場合のピットやわざと軽くして走る戦略の時、終盤のスプラッシュ&ゴーのようなシナリオでは必要な分の燃料しか補給しませんが、タイヤ交換時は満タンにするのがほとんどです。

35ガロンを満タンにするとなるとタイヤ交換のほうが早く終わってしまうので、どこまで燃料を補給するかが各チームの戦略となってきます。コーションの出るタイミングをうまく使えば、さらにギャンブル性の高いレース展開が、確実に増えることになるのです。



最終戦でダリオ(フランキッティ)が優勝したことは賛否両論の意見がありますが、誰にでも勝つチャンスがあるところがインディカーのおもしろさだと思います。そういうチャンスを増やすためには、ぜひ2003年頃と同じように燃料タンクを大きくして、ドライバーやエンジニアにとってもチャレンジングなレースにして欲しいなと思います。

リーグとしては、燃料タンクを小さくしたことでピット・ストップの回数を増やし、順位のシャッフルを増やす作戦だったのでしょう。結果的にはピット作業が速くてミスの少ないペンスキーやガナッシへのアドバンテージが大きくなってしまったような気がするだけに、手っ取り早くレース展開を面白くする上で、ぜひ検討して欲しいポイントのような気がします。

特に来年からF1は給油がなくなってしまうので、フォーミュラ・カーとしてはインディならではの魅力的なポイントとなりそうです。同じ2003年にフル参戦していた高木虎之介選手が、インタビュー中で「速くても勝てないけど、遅くても勝てるレース」と言っていたのを覚えていますか? これがインディの難しさであり、おもしろいところだとも思います。ぜひその良さをもっと引き出すルール変更を、今後もインディカー・シリーズに期待しましょう!



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