


第97回インディ500 デイリー予選レポート、ハイライト映像
5月19日【バンプデー】ジョルダインJr.が予選出走を諦め、キャサリン・レッグが決勝へ。第97回インディ500の全グリッドが確定
午前9時から1時間のプラクティスを経て、気温26度のコンディションの中12時15分に始まったバンプ・デー・クォリファイ。1996年の勝者B.ラジアを皮切りに、A,ベアトリス、S.サーベドラと次々に各マシンがアテンプトしていった中、昨年の佐藤琢磨のチームメートであるレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングのミシェル・ジョルダインJr.は、アテンプトできない状況にありました。
昨年の予選で222.893mphを記録し、予選22位を得ていたジョルダインでしたが、予選前最後のプラクティスでは219.843mphが精一杯。急遽チームメートのG.レイホールのセッティングに変更し、レイホール自らジョルダインのカーナンバー17のマシンに乗ってセットアップを試みるも、202.260mphという大変厳しい状況です。
今日のプラクティスで今年初めて走行した4人目の女性ドライバー、昨年予選30位のキャサリン・レッグ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)が記録した予選最下位のスピード、223.176mphを超えることができないと判断したチームとジョルダインは、予選への出走を諦める決断を下しました。
かつてチャンプカー時代にレイホール・レターマン・レーシングとともに2勝したベテランのメキシコ人ドライバーは、地元のオフィスデポのスポンサーを得て3度目のインディ500を目指したものの、残念ながら決勝へ進出できず。一方のレッグは今年ドラゴン・レーシングのシートとスポンサーを失い、このインディ500で起死回生を狙って急遽参戦が決定しました。
バンプアウトはなかったものの、今年も様々な思いが交錯したインディ500の予選だったと言えるでしょう。
●第97回インディ500スターティング・グリッド
●バンプデー映像
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5月18日【ポールデー】カーペンターが1975年のAJフォイト以来となるオーナー/ドライバーのポールに輝く。佐藤琢磨は去年よりひとつ上の予選18位
10時25分ごろから本格的に雨が降り始めたポールデーのスピードウェイ。予選は午前11時からの予定でしたが、最初のアテンプト、S.ディクソンが出走できたのは13時28分のことでした。気温21度というコンディションの中、08年のポール・シッター、ディクソンは226.158mphの4周平均スピードを記録します。
続いて登場したのは同じホンダのシングル・ターボ・エンジンを駆る佐藤琢磨です。朝の第8プラクティスで13位となる226.650mphを出していた琢磨は、13時32分にアテンプトを開始。1周目は226.071、2周目に226.061、3周目は225.780、最後の4周目は225.657mphと徐々に低下し、最終的に225.892mphの平均速度をマークしました。
その後次々とアテンプトが続き、18時に終了した時点でトップにいたのは228.844mphという圧倒的なスピードをマークしたW.パワー。R.ハンター-レイ、C.ムニョス、H.カストロネベス、E.カーペンター、M.アンドレッティ、AJオールメンディンガー、EJビソ、J.ヒンチクリフの上位9人がファスト9進出を決め、カーペンター以外はチーム・ペンスキーとアンドレッティ・オートスポーツの全員、トップ10をシボレーが独占する結果になりました。
約26.7度というコンディションの中、18時34分からスタートしたファスト9。5番目に登場した地元インディアナポリス在住のカーペンターが228.762mphを記録し、大歓声が巻き起こります。その後5回目のポールを狙っていたカストロネベスら、カーペンターよりも最初の予選で速かったドライバーが次々にアテンプトしたものの、誰もカーペンターを上回ることができずにポールデーが終了。カーペンターが強豪ペンスキーとアンドレッティを下し、インディ500で初のポール・ポジション獲得です。
昨年の最終戦、2マイル・オーバルのフォンタナを制していたカーペンターは、今季初オーバルのインディ500の予選も制し、オーバルでその実力を存分に発揮していると言っていいでしょう。昨年から自分のチームを運営しているカーペンターですが、オーナー/ドライバーとしてのポールは1975年のAJフォイト以来のことで、過去96回のインディ500でカーナンバー20がポールとなるのは初めてのことです。
近年では2006年にサム・ホーニッシュJr.が記録した228.985mphに次ぐスピードとなりましたが、アメリカ人がポールに輝くのもその年以来。カーペンターのこれまでの予選ベストは2010年と2011年の8位で、レースでは2008年の5位がベストでした。レースでは2006年のホーニッシュのように、ポール・トゥ・ウィンを決めたいところですね。
予選2位はブースト圧がアップする前、決勝と同じ130kPa(キロパスカル)で行われていた木曜までの6回のプラクティスで総合トップだったムニョスです。アンドレッティ・オートスポーツからスポット参戦しているインディライツのポイントリーダーは、コロンビア出身。ルーキーが2位でフロントローに並ぶのは、同郷のファン・モントーヤ(2000年)以来で、モントーヤはその年のレースで勝利しています。
また、21歳と136日のムニョスは、史上最年少のフロントロー・ドライバーの記録を塗り替えることになりました。実に1935年のレックス・メイズ以来のことで、彼は当時22歳と81日でした。今回、先輩のチームメートでランキング2位のM.アンドレッティも、初めてのフロントーとなる予選3位(2012年の4位が過去最高)を獲得しています。
昨年のファスト9でホンダは予選7位のJ.ニューガーデン1台だけでしたが、今回は1台も入ることができず、2011年のポール、A.タグリアーニの11位が最高という結果に終わりました。最終的に佐藤琢磨は予選18位となりましたが、昨年のレースでは予選19位から追い上げ、約4分の1となる46周目に2番手、119周目にはトップに浮上し、以降トップグループで激しい戦いを披露してくれましたね。今年もレースでの追い上げを期待しましょう!
<TSエンタープライズ>
IZODインディカー・シリーズのポイントリーダーである佐藤琢磨は、彼にとって4回目となるインディ500にNo.14 ABCサプライ・ホンダを駆って挑戦します。本日の予選において4ラップの平均で225.892mph(約361.4km/h)を記録した琢磨は、全33台中、18番グリッドからスタートすることが決まりました。
午前中に降った雨の影響でタイム・トライアルの開始は2時間半ほど遅れましたが、ひとたび全長2.5マイル(約4km)のインディアナポリス・モーター・スピードウェイがドライになると、予選は順調に行われていきました。34名のドライバー全員が予選アタックを終えたのは午後6時のことでした。
琢磨は、雨が降り始める前に行われたプラクティスで226.6mph(約362.6km/h)を記録していましたが、このスピードに再び到達することはなく、4周のアタックでベストとなった最初の周回でも記録は226.071mph(約361.7km/h)に留まりました。
インディ500の決勝は5月26日に開催されます。
佐藤琢磨のコメント
「今日もしっかりした仕事ができたと思います。個人的には、ファイアストン・ファスト・ナインに進出できればと期待していましたが、いまは決勝レースに集中しています。まだ明日とカーブデイにも走行のチャンスがあるので、それを楽しみにしています」
(AJフォイト・レーシングのプレスリリースより
●ポールデー終了後暫定リザルト
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ポールデーの予選オーダー、佐藤琢磨は有利な3番目(実質2番目)にアテンプト
午前11時(日本は今晩午前0時)から始まるポールデーの予選オーダーですが、1番目はエド・カーペンター・レーシングのカーナンバー40に決まったものの、ドライバーが決まっていないので2番目のS.ディクソンが最初のアテンプト(インディ500では予選で出走することをアテンプトといいます)となるでしょう。佐藤琢磨はその次で、まだ気温が低い時点での走行となるだけに、好結果を期待したいですね。
●予選オーダー
●週末のインディアナポリスの天気はこちら
●2012年の予選レポートはこちら・・・ポールデーのレポートは下のほうにあります。
●2011年の予選レポートはこちら
●2010年の予選レポートはこちら
●ロジャー安川のインディ500予選解説はこちら・・・今の方式となった2010年当時の記事です。
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